蛍池でお店をはじめて今年で19年になる、重鎮的存在「hawaiiki」のkazさん。神奈川県出身の彼がなぜ、大阪にやってきて、この蛍池の地で商売をはじめたのか。20代の頃の思い出から、お店と人と街の関係についてお聞きしました。

「二十代の頃の出会いが
これからの人生を決めるから。」
INTERVIEW vol.2

ダッキッチン・ハワイキ:店主 kazさん

発酵大学味噌学部 hiculture

最近、黄色いヘルメットをかぶっていないですよね?ここら辺ではめちゃくちゃ目立って有名だったんですよ。

KAZ(以下 K)マジ!そんなに目立ってたの!(笑)最近は、コロナで夜の営業ないからね。この2年ぐらいは、ランチメインでお店を動かしているんだけど。この三輪のバイクを買って。配達に行ってるんだよ。でさ、このバイクは、ヘルメットがいらないんだよね。

配達で大活躍中の自慢の三輪バイク

─またマンボーですもんね。

K ホント勘弁してほしいよ。もう2年も経つよ。

─カズさんの学生時代って、何にハマっていたんですか?

K 高校卒業してすぐに社会人になって、よく遊んだよね。横浜にヤバい店があって、そこで、アメリカのカルチャーの洗礼を受けた感じかな。その時にウィンドサーフィンにも出会って。よく湘南に行ってたんだよ。

ちょうど90年代はカフェブームがやってきて。横浜でも何件か良い店があったんだよね。カフェの厨房で働いたりして、ハワイにも行きだしたのがこの頃なんだ。

その時の日本のフラダンスは、おばちゃんが笑顔で踊ってるイメージがあって、ちょっと苦手だったんだけど、ハワイでフラを見たときに「コレだ!」と思ったんだよね。おばちゃんじゃなくて、男が踊ってだんよ。ホント凄くかっこよくて。フラを始めたのはこの頃だよ。

あと、ハワイに着いてレンタカーを借りるじゃん。ラジオをつけるとカッコいい曲がかかるんだよね。90年代は、ハワイのアーティストが積極的にヒップホップとかレゲエとかを自分のサウンドに取り入れ始めた時期でもあるんだ。

オープンカーでハワイアンのヒップホップを聞いていると、映画の主人公になった気持ちでハッピーなんだよね。その時ぐらいかな。いつかは自分でハワイの店をやるぞって決めたの。

─関東ではなく、大阪で。しかもなんで蛍池でお店をはじめられたんですか?

K その時付き合ってた彼女が大阪に就職したんだよね。だから俺もついて来ちゃったんだよね(笑)。当時は大阪の土地勘がまったくなくて。俺どこにいるんだろうって感覚がしばらく続いていたよ。

いつまでも仕事をせずに彼女の家にいる訳にもいかないから、働く場所を探しはじめたんだよ。飲食で。でさぁ、東京にあるハーレーショップが蛍池の空港線に店を出すから、そこで調理をできる人間を探していて。そこで採用されて2年ぐらい店長として働いていたかな。その後、お店は閉ったんだけどね。

─たった2年で閉店されたんですか?

K そうなんだよ。自分でいうのもなんだけど夜の時間は結構流行っていたんだよ。料理も評判良かったしね。だけど、本業のハーレーが全く売れないんだ。一台100万とか200万とか平気でするんだよ。誰もが簡単には買えないよね。

店は2年で閉まったけど結構勉強になったよね。この店はハーレーの店じゃん。西海岸のカルチャーっていうの?音楽も料理とかも積極的に教えてもらったし、俺も一生懸命勉強したからね。

それから店が潰れて実家がある川崎に帰ろうとも考えたんだけど、なんとなく、この街でやってみたくなって。そのまま蛍池に居座った感じかな。もう今年で19年だよ。

今振り返ってみると、この知らない町が自分のターニングポイントになったんだよね。

「偶然が偶然を呼ぶ人生。
まるで波に乗っている気分だよ。」

─学生の街で商売されてどんな感じですか?

K 学生は来てくれないよね(笑)。昔は阪大の外国人留学生が結構来てくれたんだけどね。トルコ人とかルーマニア人とかフランス人とか。そこに面白がって、変な日本人が来る感じ(笑)。コミュニティーというのかな、サロンみたいになっていって、エネルギーがあったよね。でも日本の学生はほんど来なかったかな。

─学生さんにはお店に来て欲しいですか?

K そりゃ来て欲しいよ。具体的に俺が学生に何かをできるわけじゃないけど。俺が川崎時代で影響を受けたアメリカンのお店みたいな存在になれたらなって思うよね。

その頃はスマホも、ネットもなかったけど、自分の感性でその店を探し当てて。特にそのお店の人が俺に何かをしてくれた訳じゃないんだけど、俺はめっちゃ影響受けたのね。だからそういう存在になれたら良いかなって思う。

店内入り口からハワイアン情緒が溢れています

─近場おすすめの場所とかお店を教えてください!

K どこかあるかな?(笑)。俺、外にほとんど出歩かないからね。休みの日は子供にフラを教えたり、自分の仕事のことしか考えていないからな。だからこう見えて結構時間がないんだよね。

強いて言うなら、隣の店位かな(笑)。インディアンジュエリーのお店なんだけど。ターコイズブルーとシルバーのアクセサリーを取り扱っているんだけど。今の若い子、わかんないよ、きっと。

大人気の野菜たっぷりプレートはドリンク付きで1,000円とリーズナブル。

─もし、学生時代に戻れたら、自分に何か伝えたいことがありますか?

K 戻れるわけねーじゃん。だってフラで踊りを間違えたからって、5秒に前に戻れるわけねーじゃん。それにサーフィンだって波は待ってくれねぇんだよ。その瞬間、瞬間をちゃんと見て乗っていくんだよ。過去には戻れないんだから、こけてもいいから波に乗るしかないと思う。「これだ」って思える波に乗らないと。

─学生さんに一言おねがいします。

K さっきも言ったけど、特に俺が学生に何かできるとは全く思っていないんだよね。それでも学生には来て欲しいと思ってるんだよね。この店でなにかを感じて欲しいよね。俺はココで19年やってんだよ。おじいちゃんだよ。ようやく若い子と話せる気がしているんだよね。初対面でKAZさんと呼んでくれたらそれだけで十分うれしいかな。

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この記事を書いた人

発酵大学味噌学部 hiculture

これは、ダミーです。吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれ

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